『鉄で編んで欲しい』

『鉄で編んで欲しい』 一瞬なにを言ってるのかわかりませんでしたが、出来ないとは言えないので『やりましょう。出来ると思いますよ。おそらく・・・』 友人の株式会社ZAWANさんからのオーダーです。

よくよく話を聞くと、チェック柄をデザインモチーフにした造作を作りたい。鉄を編んでチェック柄のパーテーションを作りたいとの事でした。だいたいイメージはできたので、まずは材料探しから。幅広部分は薄板でいけそうです。たぶん。

ただし、きれいなチェック柄に見える様にするには、大きさは決まっているパーテーションの中でどのくらいの格子を作るか。タテヨコの幅広部分のバランスとピッチが問題になって、『このあたりのバランスはお任せでいいですか?思うように編んでいいですか?悪いようにはしないので』と了解を得て、好きにやらせてもらいました。

まずは全体の格子のバランスから。重なっている部分は溶接したくないので固定せずに組んでいくのが苦労しました。(周囲からは溶接で止めないと無理。編む?え??)と言われましたが、溶接すると意味がない。溶接せずに編むのです。と突き進みました。

いいバランスで編めてきたような感じですね。ここまでは良かった。

ここから苦労したのはチェックの細い線部分。普段使っている材料は丸鋼で細くてもφ6㎜。これでは太すぎるので、ピアノ線などの鋼線を何種類か手配して試作で編んでみました。細すぎると格子とのバランスが悪い、そして鋼線が固すぎると編んだらピーンと弾けてしまう。それがタテヨコ。ある程度の弾力が無いと難しい。

何度かやっているうちに、材料、バランス共にいい感じになってきました。チェック柄に見えてきました。なんとかいけそうです。

遂に完成。溶接せずに編めました。最後は焼付塗装をして、チェック柄のパーテーションが出来上がりました。真剣に鉄と向かい合い格闘した日々ではありましたが、鉄の性質や新たな可能性を知り、鉄への愛着を感じる製作となりました。

『鉄で編めました』 楽しかったです。

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